体育授業ー40 教材づくりが適切にされている体育授業
◆子どもが評価する体育授業、その5です。教材づくりは、授業のメイン料理です。小学校ではオフィシャルなサッカーのゲームを教材として活用することはありません。子どもたちの発達段階に応じて、ゲームの人数、コートの広さ、使用するボールの固さや大きさ、ルールなどを子どもたちが学びやすいように加工しています。教材とは、子どもたちが学習しやすいように加工された学習のための題材なのです。
教材づくりには、その運動の特性に触れさせ、楽しく習熟させるためのエキスがふんだんに盛り込まれていなくてはなりません。しかも、その種目が苦手な子どもでも楽しさを味わい、学習できるような工夫が必要です。
小学校では、バスケットボールのゴールにシュートを決めるのが難しい学年もあります。ゴールを工夫して、開発されたのが、ポートボールやセスとボールです。今では、すっかり小学校の文化となっています。また、バスケットゴールにフラフープを取り付けて、ゴールしやすく工夫したこともありました。シュートの決定率が向上し、子どもたちは、抵抗なく夢中になって、バスケットボール型のゲームを学習できました。
また、低学年の跳び箱遊びでは、市販されている跳び箱の長さが子どもたちが跳び越す上で大きなハードルになっていたことから、ビールケースを重ねて、その上にスポンジを取り付け、ミニ跳び箱を製作して教具とし、開脚跳びの教材としました。(教具とは子どもたちが学習に使用する物であり、教材とは、子どもたちが学習する仕組みのことを言います。ミニ跳び箱は教具ですが、跳び箱遊びで開脚跳びを学習するための教材の一部を成していました。)
その結果、子どもたちは両手で着手し、頭より上に腰を高く上げた形で跳び越すことができたのです。その姿は、開脚跳びの理想的な形でした。
このように、教材づくりは、子どもたちの実態を観察し、学習の目的を達成できるような仕組みを考える取組です。このような取組みは、全国の教師が熱心に行っています。広く、情報収集しながら、自分が教えている子どもたちのためのオリジナル教材に加工することが大切ではないでしょうか。
「0」から教材を創り上げるのではなく、先行事例に学ぶ姿勢をもつことも教師には大切です。