人生の師ー14 明快な指導講評
◆過去のノートを読み込んでいたら人生の師、髙橋健夫先生からいただいた指導講評が目にとまりました。1999年11月16日に1年生、2年生の「跳び箱あそび」の研究授業を行った時のものです。髙橋先生のご指導は、大変明快で、私の体育授業研究の生涯の指針となりました。
◎授業のVSOPが満たされていた。VSOPとは、V(バイタリティ)、S(スペシャリティ)、O(オーガナイゼーション)、P(パーソナリティ)のことである。教師は役者になれというが、今日の明るい雰囲気の中、千葉先生の役者生が十分に発揮されていて。
◎低学年では、できた、できないを感じさせない楽しい授業づくりを目指したい。しかし、楽しくても動きに意味がなければ授業にならない。今日の授業では、教材を正しく学んでいない子どもたちに対するプログラムをどうするかが課題となる。場の工夫か?指導を丁寧にするのか?研究してもらいたい。
◎今日の先生は、雰囲気づくりのために競争に主眼をおいていたため、子どもたちの動きが雑になっていた。教材の一人歩きに陥っている。注意すること。
◎子どもたちは楽しそうに遊んでいたが、考える場面がなかった。活動量は多く、100回以上跳んでいた。この回数を半分にしてでも、子どもたちが分かった!できた!という声があがるラーニングにしたかった。授業の泣かせどころからメークドラマは生まれる!
◎体育館ステージへのうさぎ跳びによる跳び上がり教材は効果的であった。体の投げ出しにリズムが出てくるとかかえ込み跳びの動きに近づく。リズムが出ると、意図する運動を引き出すことができる。
◎低学年では、イメージをもたせることが重要である。認識という言葉では難しい。低学年は、その前段階にあることを踏まえてほしい。
◎今回の形成的授業評価を見ると、「協力」次元が低い。今後は、子どもたちの関心を仲間づく りに向けた教材研究をしてほしい。
髙橋先生のご指導は、子どもたちの学習の様子を的確に捉えられ、具体的に示してくださっています。そして、常に教師と子どもたちの関係、教材の工夫が、どのように機能しているのかを、冷静に判断されているのです。その語り口は、大変明快で時折ユニークを交えて、授業をマネジメントする上で大切なエキスがタップリと詰まっています。
ですから、授業を行った私だけでなく、研究協議会に参加した全ての関係者が、頷きながらメモをとっていたのを思い出します。
今でも、繰り返し読み込んでは参考にして、子どもたちにとってよい体育授業の在り方を追い求めています。
髙橋健夫先生、ありがとうございます。