学校教育ー96 解る、できる授業
◆以前、外国の方とお話しした際にこんなことを私に投げかけました。「日本の子どもたちは、勉強は塾で、部活動は学校で、と考えているようですが、なぜですか?」私は、この質問を聞き、深く考え込んでしまいました。それから10年以上経ちました。今はどうでしょうか?相変わらず、塾の進学指導を優先する風潮が中学校で、小学校でも見られるのが現状です。
主体的、対話的で深い探究的な学びを確立しましょう。令和の時代、学校教育では、変化の激しい社会を子どもたちが生き抜いていける力を身に付けさせるために、このような授業を標榜して取り組んでいます。
しかし、子どもたちや保護者の中には、「塾の先生の方が解りやすい」と言う者も少なくありません。
確かに受験では、選抜試験でいかに多くの点数を取るかが、合否の鍵を握っています。受験制度の改革は何十年も前から叫ばれていますが、依然として、選抜試験の点数重視は変ることはありません。
つまり、いかに主体的、対話的で深い学びを行っても、試験で点数を取れるようにならない限り、子どもたち、保護者の信頼を100%集めることはできないのが現状です。
ある教師は「塾よりも学校の授業の方が解る、と子どもたちに言わせたい!」と意欲を燃やしていました。解る、だから試験を行っても点数が取れる、しかも、探求的に学べる能力や資質を磨いていける、そんな授業を学校でも求めたいものです。
どんなに理想を掲げても、現実問題をクリヤーできる力をもっていなければ、子どもも保護者も納得しません。
お米の価格が暴騰する、国が万の理屈を述べても、市場の価格が下がらない限り、国民が納得しないのと同じです。
私は、学校で目指す授業の姿として、次の3点を考えています。
ひとつは、子どもたちが解る、できる授業。
もうひとつは、友だちと仲良くできる授業。
そして、大好きな先生が教えてくれる授業、 の3つです。
学校は、子どもたちの人間形成の場です。だからと言って、試験の得点から目をそらすことがあってはなりません。点数を取るために絶えず教える内容を工夫している塾の講義に劣るようなことがあってはならないのです。その上で、友だちとのコミュニケーションや協働、協調性、探究心、運動能力、体力などを幅広く磨ける教育活動をダイナミックに展開していく学校教育でありたいと考えています。
それを紡いでいくことができる授業力と人間力をもつ、魅力的な教師こそが、子どもたちから尊敬され、子どもたちの未来を拓いていけるのではないでしょうか。