職場ー53 居場所は自分でつくる
◆仕事をしていると周囲から信頼され、自分のステイタスを確立している人は、他人から与えられているのではなく、自身で築いているのを感じます。人事異動によりポストを与えられることはあるでしょう。しかし、その人の存在感という居場所は、その人自身がつくっているのです。
教育委員会事務局でも、学校でも、周囲から信頼されている人は、その人にしかない存在感という居場所がありました。
例えば、学校で安全教育主任をしている教師がいます。この教師は、毎朝早くから出勤し、コツコツと努力を重ねます。誰にでも明るく話しかけ、決して、弱音を吐くことはありません。計画についても責任感をもって作成し、事前に校長の私に相談してくれます。
そして、不安な点については、十分にディスカッションして納得できる状態まで昇華させます。その上で、全体に提案しているので、ブレることなくリーダーシップを発揮し続けてくれています。
安全教育主任は、避難訓練や緊急時の要です。子どもたちだけでなく、全ての教職員に号令をかけることも多々あります。日頃の努力を欠かすことなく、このような大きな仕事で活躍しているうちに、この教師に対する周囲の信頼感は絶大なものとなるのです。
年齢ではないのです。キャリアでもないのです。その人が、忙しい毎日の中で、誠実に努力し続けている姿を周囲は見ているのです。この教師の“信頼”という居場所は、人から与えられているのではなく、自身でつくっているのです。
年齢やキャリアとともに、日頃の努力を怠ってしまう者も、私が経験した職場には必ずいました。仕事そのものには、ある程度見通しをもっているので、職場でも一応の理屈を言うことはできます。しかし、日頃の仕事に誠実さや努力が感じられないので、周囲からの信頼は集まりません。しかも、自分では人一倍努力しているつもりなのですからどうしようもありません。努力している人から見ると誠に脆弱で独り善がりに映っているのです。
そして、本人は「ポストを与えられないからできない」と周囲に言いふらす、そのことは周り回って職場内外に伝わり、さらに信頼を失う、といった悪循環に陥る人を私は、何人も見てきました。残念なことです。
“すべては善因善果、悪因悪果”です。自分の居場所=周囲からの信頼は、人から与えられるものではなく自分でつくるものなのです。
そして、つくり方はただひとつ、毎日、コツコツと努力を重ねることです。