家庭教育ー5 夫婦の考え方のベクトルを合わせる
◆両親と面談していると母親と父親で、考え方が著しく異なる場合があります。意見が合わない時、母親の意見を通すか、父親の意見を通すかは、その夫婦間の力関係(?)によるようです。
子育てするには、できるだけ父母の意見は合致した方が良いでしょう。少なくとも子どもの前では・・・。
ところで、夫婦間の考え方の相違はどこから生じてくるのでしょうか。
夫婦になる前は、互いに気を惹くために相手の話をよく聞こうとします。
人は自分の話に丁寧に耳を傾けてくる人に好意を持つのは自然の理です。この時、二人は考え方も好みも全く同じである、と錯覚するのは恋愛感情が働いているからでしょう。
レストランで注文する際にも、相手と全く同じ好みであると喜びながら、同じメニューを頼む場面はよく見られる光景です。冷静に考えれば、違うメニューを頼んでいたかも知れないのに・・・?。
結婚生活を始めると、相手の気持ちを惹こうとする必要性が薄れてくるので、次第に地金が出て来ます。結婚して初めて発見する伴侶の考え方や癖など、色々なことが分かってくるものです。
そして、それらは自分の期待通りのものばかりではありません。時として、幻滅さえ覚えてしまうこともあるでしょう。
また、食べ物ひとつとっても、結婚してみると自分の考えていた味覚とのギャップを感じることもあるはずです。
私も、結婚当初、味噌汁の味が自分の母親のものとは違うと妻に注文をつけたことがあります。今にして思えば、妻に対して大変失礼なことを言ったものです。
このように、夫婦は各々違う両親に、違う土地で育てられているのです。
特に母親の影響は大きいのではないでしょうか。母親が幼い頃から口にしていた言葉は知らず知らずのうちに、自分の言葉になっているものです。
また、父親の存在も家庭によって随分と差があります。「お父さんのようになったらダメですよ」と言って育てられた子どもと「お父さんのような立派な人になりなさい」と言って育てられた子どもでは、父親の存在感そのものが自然と潜在意識の中で像を結んでいるものです。
このようにして考えると夫婦の考え方が異なることは極めて当たり前のことと言えます。
それでも夫婦間のコミュニケーションが活発な夫婦は、互いの意見をうまい具合に擦り合わせ、考え方や行動の仕方のベクトルを合わせた上で、その家の教育方針などをしっかりと打ち立てていきます。
両親の教育方針にブレがなければ、子どもの成長に好影響を与えるのは容易に想像できると思います。
私が実際に面談させていただいたご両親で、夫婦間に深い絆が感じられる場合、お子さんは、素直で、真っ直ぐ育っている場合が多かったように記憶しています。
親子には血のつながりがあります。
夫婦は元をただせば、ただの他人です。他人同士だった男女が一緒に暮らし、家庭を持つのですから多少の波風はあって当たり前です。
それを越えて、生涯にわたって支え合って暮らしていくだけの強い、強い、御縁があったればこそ、夫婦となったのではないでしょうか。
「夫婦は、いつまでも互いを尊敬し、尊重し合って所帯を回していきなさい。」
私の母が結婚する時にプレゼントしてくれた教訓です。
確かにその通り、名言です・・・。