保護者の想い    「教育は愛」No.23

学校教育

学校教育-7 保護者の想い ~ 家庭訪問で ~

◆教師にとって家庭訪問や個人面談は、保護者の方と本音でお話しすることができる貴重な場です。

 私は、保護者の方から本音をお聞きして、教師として、人として、大変勉強になることが多々ありました。

 保護者の方の我が子に対する想いは、海より深いものです。その想いや愛情をしっかりと受け止めて、教師は教育を進める使命があります。

 決して独り善がりの教育をしてはいけないのです。

 担任時代の話です。私が家庭訪問でお邪魔すると、お母さんは一番下のお子さんをおんぶしながら、家庭訪問に対応してくださいました。私はお子さんの腕白ぶりに隠された心の優しさを強調しながら、学校でのいろいろなエピソードをお話しさせていただきました。

 じっと私の言葉に耳を傾けていたお母さんは、やがて目に涙を浮かべながら話し始めました。

 「千葉先生のお話しをお聞きしていて、ようやく息子の心を理解してくださる先生に巡り会えたという気持ちでいっぱいです。私は、兄弟の中でもこの子が一番優しい子だと思っています。それなのに、前の担任の先生は、兄弟が多いので、親が手をかけないから、学校で騒ぎまくるのだ、とおっしゃいました。学校へ行っても、先生から邪魔者のように扱われていたのです。そして、私はもう先生に理解してもらえなくてもいい、この子は優しい子なんだと、親の私が理解していればいい。学校の先生に理解してもらわなくったって構わない、という諦めの気持ちを持っていたのです」

 このお子さんは大変素直な子で、腕白だが情に厚く、納得すれば何でも一生懸命に頑張ってくれる、そんなお子さんでした。4月から担任し、このお子さんの学校での生活の変容ぶりにお母さんも気が付いていらっしゃったようです。

 「千葉先生は38歳ですか。私も同い年です。私が小学生の時の男性の担任も長嶋茂雄選手が大好きでした。今、息子は長嶋さんのことを大好きな男の先生に巡り会い、変わろうとしています。当時の私が感じている想いと同じ想いを抱いて。息子は、一生の内で忘れられない先生に担任してもらっているんでしょうね」

 子どもたちには、家族がいて、親戚もいます。その沢山の人達から深い愛情を受けている宝物なのです。その想いを私たち教師はしっかりと受け止めなくてはならないのではないでしょうか。

別れ際にお母さんがおっしゃった言葉が忘れられません。

 「親は先生を選べませんからね。じっと我慢するしかないんです。そして、今年は本当に良かったと喜んでいます」

 保護者の方は、新年度の担任発表があると「今年は当たり」「今年は外れ」と情報交換されているようです。このような現実を私たち教師は真摯に受け止め、子どもたちを教育しなければならないのではないでしょうか。

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