職場ー4 同じ話を何回も繰り返す人の心理を考える
◆職場の上司で、全く同じ話を何回も繰り返し話して聞かせようとする人に数人出会いました。その人たちには共通していることが幾つかあります。
ひとつは、話の内容が自慢話であるということ。もうひとつは、初めて話すようにして同じ話を繰り返しているということです。時にその話は2時間を超えることさえありました。この人たちを注意深く観察することによって、色々と学ぶことがありました。話しを聞かされている時には、辟易としてしまいましたが・・・。
まず、この人たちは管理職の立場にありました。一応、その世界では成功を納めた人と言ってよいでしょう。
そして、必ず今に至るまでのサクセスストーリーを自分のいいように脚色して話し出すのです。この話には、本人も気に入っているようで、上手に起承転結を付けて、今の成功までの道のりを楽し気に話してくれます。
途中では、必ず敵役も登場します。その敵役は、現在自分とは対照的な境遇にあることを自分の正当性と成功のスパイスに使います。
ある上司のサクセスストーリーは、約2時間かかりました。ひとつの映画を観ている時間と同じです。全く同じ展開なので中ほどまできた時、試しに「そして、そのあとこうなったのですよね。以前お聞きしました。」と勇気を出して言ってみました。
上司は、一度話を止め、不思議そうな顔をして私の顔を見つめていましたが、その後何事も無かったように全く同じ内容をストーリー通りにお話ししてくださいました。
また、ある上司は、自分の好きなジャンルの話を滔々と周囲に話して聞かせます。
この話は、対話形式ではなく、ただただ、一方的に話し続けるのです。聞かされている人たちは、全く同じ話であっても、相槌を打って、話しが終わるまで作り笑顔で耐えています。
なぜ、このように同じ話を何回も繰り返すのでしょう?
この上司たちは、今の境遇に大変満足しており、今までの成功体験に酔い痴れている面があります。
今から未来へのチャレンジに気持ちが傾いていないのだと思います。あの人たちは、過去に生きていると言ってよいでしょう。ですから、今後の抱負などについては、全く言の葉に上りません。
もうひとつ考えられることは、加齢による記憶力の低下です。
当時管理職として活躍されていた訳ですから、判断力も記憶力も優れていたはずです。しかし、自分が誰に何を話したのかということについては関心も薄いのか、明瞭な記憶がされていないのです。
多分、もう少し若い頃は関心の薄いことについても記憶していたのでしょうが、加齢とともに、その辺りの記憶回路が低下してしまったのかも知れません。
そして、寂寥感です。管理職になると肩書の無くなる時が確実に目の前に迫っています。孤独と不安が少しずつ襲ってきているのでしょう。
不安を解消するためには、過去の成功を並べ立てて心を慰めているのかも知れません。
人の振り見て我が振り直せ・・・私も寂寥感に支配される時がくるかも知れません。しかし、過去は振り返らず未来を見て、生きていきたいと思います。「未来にGrande!」です
そして、この話は前もしたかな?と頭をかすめたら「この話は以前お話ししましたか?」とお聞きするように心がけています。
同じ話は、お酒の席で昔を懐かしむメンバーで定番となっているストーリーを引っ張り出す時だけにしたいと思っています。
気を付けます。