返事ばかりの厄介な人 「教育は愛」No.43

コラム

コラムー7 返事ばかりで行動が伴わない厄介な人

◆「はい、わかりました!」お願いした案件に対して元気な返事を返してくれます。しかし、それっきりで何のフィードバックも無いので「この前お願いしたことはどうなっていますか?」と尋ねると、また元気な声で「大丈夫です。これからやるところです」全く躊躇する様子もありません。

 これを何度か繰り返していると、真剣にお願いしている自分が悪いのではないか、と自己嫌悪に陥ってしまいます。このように返事と行動が見事に分断されている厄介な人は、どの職場にも一人や二人、いらっしゃるのではないでしょうか。

 このような厄介な人が返してくれる返事は、パブロフの条件反射に似ているのではないでしょうか。内容は吟味せず、理解できていないままに、つまり脳まで内容が届かぬ内に反射的に「はい、わかりました」と返事をされているのだと思います。

 中学校や高等学校の先輩や顧問の先生の指示に対して反論が許せない気風のある昭和の運動部のそれに似ているのではないでしょうか。これが、中学・高校・大学まで染み付いていると大変厄介です。

 仕事には少なからず成果が求められます。よく吟味した上で行動し、内容を習熟させなければ成果はあがりません。ですから、このような厄介な人にお願いした仕事は、体系的なまとまりを持たず、断片的で、取って付けたような仕上がりになってしまいがちです。

 それでも、仕上がった後に、もう一度深く精査するようになればしめたものですが、そこまで行くにはまだまだ時間がかかる場合が多いようです。

 また、理解しないまま行動に移しているので根本的にズレてしまう場合もあります。例えば、玄関の清掃をお願いしたのに、倉庫を一生懸命掃除します。「どうして、玄関をお願いしたのに倉庫なんですか?」と質問すると「いや、倉庫が汚れていたので、玄関よりも倉庫を掃除した方がいいと思いまして・・・」と、トンチンカンな答えが返ってきます。こうなると、どうしてよいのか、この人とどのようにお付き合いしたらよいのか、悩みは深みに入ります。

◆このような厄介な人と付き合うには、まず過度に期待してはいけません。できるだけ、シンプルで、断片的な内容の仕事を具体的にお願いしてはいかがでしょう。

 「〇日の午後3時までに、このファイルにあるAという資料を10部コピーして、ホッチキスで右上に1か所止めてください。」という具合いに、お願いする指示も具体的にすることです。しかも、こういう人はメモを取ろうとしませんから、お願いする時に簡単なメモも手渡しします。

 そして、必ず途中で「お願いしたことは進んでいますか?」と途中経過を面倒くさらずに確認しましょう。そうやって、仕事が完成した時には、少しオーバーに褒めてあげることを忘れずに。

 何やら子どもを相手にしているようですが、何歳になっても褒められて嫌がる人はいません。誉め言葉がこの人に伝われば、この次の仕事へのモチベーションにも繋がります。

 さて、忘れてはならないのは、今回のような厄介な人は返事がよい、つまり仕事に対する姿勢は明るく前向きである、ということです。ただ、考えないで返事しているという点が課題になっているのです。

 ですからリーダーの持って行き方によっては、大化けする可能性もあります。そして、その返事から積極的な姿勢を他のメンバーのお手本にするようシチュエーションを整えることができれば、チームにとって、とても重要なムードメーカーになる可能性も秘めています。

 今のご時世、気持ちよく返事をしてくれるだけで有難いこと、とこちらの発想をプラスに転換してみてはいかがでしょうか。

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