スタンスとロジックを重視 「教育は愛」No.52

コラム

コラムー8 スタンスとロジックを大切にしてリードする魅力的な方

◆ある業務を進め、上司からダメ出しの修正を何度も受けている内に、自分でコントロールできないくらい内容がずれてしまうことがあります。

 そもそも、この業務は何のために行っているのか、本来の目的が見えなくなってしまうのです。

 カレーライスを作っていたはずなのに、気が付いたら甘さの効いた野菜スープを作ってしまった、という具合いです。こうなると本末転倒、カレーライスを食べたかったのに用をなさない結末に。

 私が教育委員会時代にお仕えしたある上司は決してこのような事態を許さない方でした。上司の口癖は「スタンスとロジックを大切にしなさい」というものでした。

 スタンスとは、仕事を進める上での自分の立場のことです。仕事を修正しているうちに、奉仕者であったはずが、単なる傍観者になってしまう場合があるのです。

 また、ロジックとは第三者にしっかりと筋道を立てて説明できる論理性をもつことです。他人にわかりやすく、筋道を立てて説明できないということは仕事のどこかに無理や矛盾があるのです。

 そして、無理を押し通そうとする時に出てくる言葉が「そこを何とかお願いします」という無責任極まりないものではないでしょうか。

 この言葉は、身勝手で、生産性の全くない言葉で、言われた方は当惑してしまいます。

 私の上司は、数字が好き(得意)で、文章を書くのも好き(得意)でした。上司の文章には、常にロジックが貫かれており、ご自身の立場も明確に表現されていました。

 私は、この上司と一緒にお仕事をさせていただくまでスタンスやロジックなど考えたこともありませんでした。常に自分の感性のおもむくままに仕事を進め、文章を書いていたのです。しかも、自分の文章は分かりやすいものだと自惚れていたのです。知らないということは本当に怖いものです。

 この上司からスタンスとロジックをご指導いただいてから、仕事を進める上でも、冷静に判断することができるようになりました。と言っても、以前の私に比べて、というレベルですので、たいしたことはありませんが。

 しかし、第三者に自分の担当する業務のことについて説明する時に、正確性や具体性が出てきて、自分自身でも説明しやすくなったのは事実です。

 スタンスとロジックは、仕事だけでなく、人生の色々な場面でも応用できます。

 例えば、家族とのかかわりの中でも、自分は今、父として対応するのか、夫として対応するのか、今、我が家はどのような方向へ向かおうとしているのか、幸せになるには何が必要なのか等々、これらのロジックを明確にしながら家族間で考え方を共有できれば、妙な行き違いはなくなるものです。

 友達との関係も同様です。

 ただし、自分の考えているスタンスとロジックがいつでも正しいと過信してはいけません。

 自分のスタンスとロジックを他人に強制的に押し付けようとすると衝突することもあります。

 人はみな異なる成育歴を持ち、キャリアを持ち、考え方を持っています。このことを十分に理解した上で使いこなせるようにしたいものです。

◎よい仕事をチームで行うためには、リーダーのスタンスとロジックはとても重要です。チーム全体の舵取りに影響するのですから。

 当時お仕えした上司が、部下の私達に示してくださったスタンスとロジックは、相当に考え、練られていたものでした。心地よいキレがあり、今思い出しただけでも惚れ惚れとしてしまいます。

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