コラムー10 常にロマンを持ち続ける魅力的な方
「ロマン(Roman)」とは、夢や冒険などへの強い憧れをもつこと、と辞書には載っています。
どのような世界であれ、仕事や生き方にロマンを求め続けることは、人生の理想ではないでしょうか。日々の仕事や生活に埋没してしまうとロマンの姿は影が薄くなってしまいます。
教育の世界でも常にロマンを持ち続け、熱く語り、研究されていた大先輩が沢山いらっしゃいます。
実際にお会いして薫陶を受けた方、書物の中でその生き方に感動した方、沢山の方々が私の人生に影響を与えてくれました。
この方たちに共通しているのは、常に未来志向で現在進行形にいることだと思います。
かなりの実績をあげた人でも、過去を振り返り、自分の成功経験から離れることができずに、会うといつも同じ話に終始する人もいます。
そういう人の目は、いつも過去を見て、懐かしんでいる様で、見ていて痛々しくなってしまいます。
常にロマンを持つ続ける方は、過去のことは、聞かれれば話してくださいますが、いつも、「今」と「これからのこと」に目を輝かせていらっしゃいます。
私が師事させていただいたある先生は、新聞を隅から隅まで読み、今の社会の動きと教育を結び付けて、独自の論を展開していらっしゃいました。
毎月、新たなテーマで何本もの講義をされていたその先生は、ロマンを求めることの大切さを私達後進によくお話ししてくださいました。
現在地点を情報収集して正しく把握した上で、教育の進むべき未来を語られるお姿は、情熱的で私の仕事へのモチベーションを大いに高めてくださいました。
また、大村はま先生の白寿記念講演を拝聴した時には、自分の教師としての甘さをハンマーで殴られたような衝撃を受けました。
講演で、大村はま先生は、ご自分の経験を心に響く言葉でゆっくりとお話しされていました。
そして、常に後進である私達に、教師の未来の姿や教育のあるべき姿を語られるのです。大村はま先生は、過去を通して未来への扉の開け方を導いてくださっていたのです。
「優劣のかなたに」ある「学びひたろう、教えひたろう、優劣のかなたで」という一節と講演会の時の大村はま先生の輝く瞳が結び付き、大村はま先生のロマンが、今でも胸に響いています。
◎「世に生を得るは事を成すにあり」、坂本龍馬の言葉だと伝えられている言葉です。
事を成すとは、仕事を通して世の中に貢献することだと私は考えています。龍馬は近代日本のあるべき姿を思い描き、自分の出世やら禄やらといった私欲に固執することなく命を燃やしました。
ロマンなくしてできることではありません。きっと、龍馬の目もキラキラと輝き、素敵な笑顔で周囲の人たちに影響を与えていたことでしょう。
ロマンチストの目は、常に未来を見つめています。だから、いつもキラキラと輝いているのです。
過去に足踏みをしている暇もないから、常に現在進行形で、周囲に対しても心憎いほど爽やかなのではないでしょうか。