学校教育ー27 子どもたちの創造力と表現力を伸ばすICT
◆今までの教育では、子どもたちに正しい知識や技能を身に付けさせることが主流でした。令和に入り、国のGIGAスクール構想も軌道に乗ってきた今、子どもたちは、創造力の翼を大きく広げている印象を持ちます。
「子どもたちは、こんなことも考えられるのか!」と、その創造力や表現力に驚かされることもしばしばです。
令和に入り、タブレットPCを活用している授業や子どもたちの学習の様子を見ていて驚かされることが多々あります。
まず、タブレットPCについては、使い方を指導する必要もないくらい、子どもたちはPCを手にするだけで、自走して習熟をしていきます。これは、小学校1年生でも同様です。今の子どもたちはデジタルネイティブの世代なのです。ICTを極自然と使いこなすだけのスキルを持ち、試行錯誤しながらそのスキルを向上させていく学習能力も兼ね備えているのです。
また、子どもたちは、ICTを活用して必要な情報を入手し、自分の想いやイメージを第三者に伝えるための資料を器用にデザインすることができます。
昭和の時代は、学級のお楽しみ会で、紙芝居を作り、楽しんだものです。それと同様に、令和の時代では、プレゼン用の資料をビジュアル豊富に作成したり、動画を編集してひとつの番組を作ったりする創造力、表現力を駆使します。
ICTの分野では、子どもたちは、自走しながら学習を深めていくことができます。まるでAIの進歩のように、子どもたちの表現力は、加速しながら進化していくのです。そこに、教師の事細かい指導は必要としないのです。
今まで、学校では、子どもたちの学習を発展させるためには、教師の指導の適時性が問われました。つまり、何をどのタイミングで子どもたちに与えるか、それが指導の中心だったのです。熟練した教師は、その内容の質と与えるタイミングが絶妙で、職人芸と呼ばれたものです。
しかし、ICTにおいて子どもたちは、自走できるのです。
そこで、教師の役割は、子どもたちの学習成果を発表する機会を適切につくることとICTにおけるモラル教育を適切に指導することが重要になってきます。ネットの世界は、便利な反面、子どもたちを危険に晒してしまうような罠もあることをきちんと指導する必要があります。
学校種や発達段階もありますが、子どもたちの学習も、やがては、自分の課題を明確にして、そのトピックスについて調べ、自分の考えを持ち、他人に発表し、協議する、そこで分かったことをさらに深めていくような、スタイルに発展していくのではないでしょうか。
今、私が勤務している小学校の子どもたちは、自分たちで考えた委員会の活動案などについて、タブレットPCを校長室へ持ってきてプレゼンをしながら提案してくれます。その質は、日を追う毎に進化していきます。また、当初は高学年だけだったのですが、中学年の子どもたちも同様な資料を見せてくれるようになってきました。
明らかに自走しているのです。
今後は、生成AIも導入されてくるはずです。子どもたちの創造力と表現力を磨くため、私たち教師も、「教え、身に付けさせる教育」から、「引き出し、伸ばす教育」への転換が益々求められてくるのではないでしょうか。
子どもたちの創造力と表現力はどこまで発展するのでしょうか。子どもたちの未来が、楽しみです!