スポーツで心を磨く 「教育は愛」No.179

教え子

教え子ー1 スポーツで心を磨く

◆スポーツに秀でた子どもたちは、時に、技術だけを追い求めることを優先してしまうことがあります。子どもは、経験値が少ないのですから当然でしょう。しかし、スポーツに秀でているだけでなく、周囲の人たちへの心配りを学んでいる子どもは、スポーツを通して、人間力を磨いているようです。

 私がかつて勤務していた学校では、サッカーが盛んでした。学校で代表学級を決める際には、6年生の校内予選会が行われます。

 子どもたちの関心は高く、この予選会を勝ち抜くために、学級毎に熱心に練習していました。そして、熱戦が繰り広げられる中、応援、喜び、涙が入り交じり、子どもたちの人間関係も大きく成長していったものです。

 子どもだけではありません。担任教師も、教師として、一皮むけた感がありました。

 さて、予選会が終わり、代表学級が決まります。代表学級は、その後、多くの先生方から指導を受け、来るべき地区予選会への備えをします。

 時節は冬です。時に雪が運動場を覆ってしまうこともありました。

 朝、出勤した教師たちが、雪かきをして、運動場のコンディションを整えます。

 そんな中に、登校して自主的に運動場整備をお手伝いしてくれている男子が一人いました。代表学級の子どもではありません。惜しくも、敗れてしまった学級の子どもでした。彼は、サッカーの技能も抜群でした。しかし、それを鼻に掛けることなく、学級の友だちを思いやり、励ましながら予選会に臨みます。学級の友だちからも信頼されている立派なリーダーです。その子が、ただ一人、運動場整備を笑顔でお手伝いしているのです。やがて、この子の行動が自然と学年の子どもたちに広がり、気が付くと、かなりの人数が運動場を整備するようになりました。

 よく、スポーツの少年団でも、プレーは一生懸命、準備と片付けは人任せ、という淋しい状況を耳にします。

 スポーツを通して、人間力を磨くことは大切なことだと考えます。

 このお子さんの保護者の方も大変、礼節を重んじ、笑顔で学校の教育活動にもご協力いただける方でした。きっと、家庭の中でも、結果よりもプロセスや人間関係の大切さ等について、幼少期より教育されていたのでしょう。

 数年後、この子どもは、Jリーガーとなる夢を叶えることができました。

 今でも印象深い、自慢の教え子の一人です。

タイトルとURLをコピーしました