教師ー15 心に残るターニングポイント 継続と鳥瞰図的な視野を持つ
◆体育の授業研究を続けていく内に、同じ指導案で同じ指導方法で授業を展開していても授業者によってその成果に差異が生じることに疑問をもちました。
そこで考えたのが、この教訓です。
一つの単元だけでなく、一年間継続的に授業研究を継続し、体育授業の基盤を成す学級経営(学級集団の意識変容)と関連させて研究することの重要性に気付いたのです。
以後、私の研究テーマは「体育授業と学級経営」に行き着きました。この視点で研究を進めていくと教師のあるべき姿、教師論につながるのではないかと考えています。
子どもたちにとって、よい体育授業ではなく、子どもたちにとってよい教師とは、です。その教師の指導方法を丸ごと集約するのが学級経営だと思うのです。
「体育授業は学級経営の大黒柱であり、学級経営は、子どもたちにとってよい体育授業の基礎である」そんな仮説に行き着き、以後、研究を繰り返していきました。
【ターニング・ポイント8】
体育授業と学級経営は密接に関連している!
以前勤務していた学校のS教諭が「最近、気持ちだけではダメだと思うようになってきました。やはり教師としての技術をもたなくてはならないと痛感しています」と、瞳を輝かせながら話してくれました。
S教諭の言う通り、教師は教育というライセンスに裏打ちされた技術を使いこなすことによって社会から認められる職業です。
そして、その技術というものは「授業力」に他ならないのです。この力を高めるためには、授業研究を繰り返し、積み重ねていく以外に道はありません。私が今まで書かせていただいた8つの「ターニング・ポイント」は、私に授業研究の楽しさを教えてくれ、教師としての生き甲斐を教えてくれた大切なポイントです。
これらのポイントのひとつでもいい、若い先生方が取り組んでおられる授業研究の参考となれば望外の喜びです。
むすびに「学は一生の大事」(『言志晩録』佐藤一斎)を記し、自らの授業研究へのさらなる決意とさせていただきます。
「少にして学べば、則ち壮にして為すこと有り。壮にして学べば、則ち老いて衰えず。老いて学べば、則ち死して朽ちず」