幼稚園ー28 純粋な心にふれて
◆先日、勤務している幼稚園に中学生が訪れました。
「赤ちゃん・幼児ふれあい体験」という体験型学習のためです。
中学生たちは、5人ほどのグループに分かれ、年少・年中・年長の各保育室に入り、子どもたちと一緒に過ごしました。
園に到着すると、まず、学級委員長さんから代表して丁寧なご挨拶をいただきました。
私からは、こんなお話をさせていただきました。
「幼稚園の子どもたちは、みなさんのことを大歓迎します。今日は、子どもたちの純粋な心に触れて、みなさんがどのようなことを感じるのか、それを楽しみにしています」
そして、いよいよ、ふれあい体験の始まりです。
絵本の読み聞かせをしてくれるグループ、園庭で一緒に思い切り遊んでくれるグループ。
それぞれが事前に考え、準備してきたことを、一生懸命に実践してくれました。
幼稚園の子どもたちは、中学生のことを「先生」と呼びます。
小さな手で中学生の手を取り、いろいろな質問をしたり、「一緒に遊ぼう!」と誘ったり。
子どもたちは大喜びです。
中学生たちも、そんな子どもたちの姿に自然と笑顔になり、優しく言葉をかけ、一緒になって遊んでくれました。
そこには、年齢の違いを超えて、心と心が通い合う温かな時間が流れていました。
楽しい時間は、あっという間に過ぎてしまうものです。
気がつけば、中学生たちが学校へ戻る時間になっていました。
お別れの会では、もう一人の学級委員さんから、丁寧なお礼のご挨拶をいただきました。
私は、中学生たちに尋ねました。
「いかがでしたか? 子どもたちと触れ合って、みなさんの心には、どのようなことが残りましたか?」
ふと見ると、来園したときとは、中学生たちの表情が違って見えました。
みな、真剣な眼差しで、私の言葉に耳を傾けてくれています。
私は、続けました。
「みなさんの手を取り、話しかけ、微笑みかける幼稚園の子どもたち。その純粋な姿に触れて、みなさんは、きっと『この子たちを守ってあげたい』『何かできることをしてあげたい』と感じたのではないでしょうか」
「その心こそが、『愛』なのです。」
「人と人とが接するとき、そこには『愛』が必要です。相手を大切に思う心、相手のために何かをしてあげたいと思う心。今日、幼稚園の子どもたちの純粋な心に触れて、そのことに気づいてくれていたら、とても嬉しく思います」
中学生たちは、静かに、そして真剣に聞いてくれました。
やがて、お別れのとき。
中学生たちが幼稚園を後にしようとすると、すべての子どもたちが保育室の前に出て、懸命に手を振り始めました。
「ありがとうございました!」
「また、来てね!」
「さようなら!」
子どもたちの元気な声が響き渡ります。
その姿に感動したかのように、大きく手を振り返す中学生たち。
なかには、園児のもとへ駆け寄り、笑顔でハイタッチを交わす生徒もいました。
何とも微笑ましく、胸が温かくなる光景でした。
私は、いつまでも手を振り続ける園児たちの声を背に受けながら、正門を出ていく中学生たちを見送りました。
中学生たちの輝く瞳。
あふれる笑顔。
そして、何度も「ありがとうございました」とお礼を伝えてくれる姿。
その一つひとつに、私は「愛」を感じ、胸が熱くなりました。
今回のふれあい体験を通して、中学生たちは、幼稚園の子どもたちから、何か大切なものを受け取ってくれたのではないでしょうか。
そして、幼稚園の子どもたちもまた、中学生のお兄さん、お姉さんから、たくさんの優しさをいただきました。
愛は、教えられるものではなく、人と人とのふれあいの中で、感じ取り、育まれていくものなのかもしれません。
幼稚園の子どもたちの純粋な心が、中学生たちの心に「愛」とは何かを語りかけてくれた。
そんな一日になったことを願いながら、私は中学生たちの後ろ姿を見送りました。
教育は愛。
今日もまた、子どもたちから、大切なことを教えていただきました。

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