55のメッセージー48 失敗した自分も、許してあげましょう(人生編)
◆過ぎたことをクヨクヨしない。いつまでも引きずらない。
このことについては、「55のメッセージ43『変えられるのは「今」このときだけ』」でもお話しさせていただきました。
いわゆる「持ち越し苦労」をしない、ということです。
今回は、この「持ち越し苦労」について、もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。
そもそも、なぜ人は、過ぎてしまったことをいつまでもクヨクヨと引きずってしまうのでしょうか。
私は、大きく分けて二つの理由があるように思います。
一つ目は、過去の判断や行動が原因となって、現在も苦しい状況が続いている場合です。
「あの時、あんな判断をしなければ……」
「あの時、違う道を選んでいれば、こんな苦しい思いをしなくて済んだのに……」
そんな後悔が、心から離れなくなるのです。
引きずるつもりはなくても、現在の苦境が続く限り、過去の出来事が繰り返し思い出されてしまいます。
しかし、どれほど悔やんでも、過去の出来事を変えることはできません。
変えることができるのは、今の自分の考え方と、これからの行動です。
だからこそ、過去の判断を責め続けるのではなく、今の苦境を少しでも改善するために、できることから取り組んでいきたいものです。
もう一つは、失敗した自分自身を許せず、後悔を引きずってしまう場合です。
「どうして、あの時、毅然とした対応ができなかったのだろう……」
「なぜ、あんな失敗をしてしまったのだろう……」
自分の不甲斐なさが許せず、何度も同じ場面を思い返してしまうのです。
人は、ともすると、成功した時の自分を「本来の自分」だと思い込みがちです。
そのため、失敗した自分を受け入れることができなくなってしまうのでしょう。
そんな時、私は山岡鉄舟の歌として知られる、次の言葉を思い出すことにしています。
「晴れてよし、曇りてもよし、富士の山
もとの姿は変わらざりけり」
晴れ渡る青空の下にそびえる富士山。
雲に覆われ、姿が見えなくなってしまった富士山。
どちらも、同じ富士山です。
晴れているから価値があるわけでも、曇っているから価値がなくなるわけでもありません。
人もまた、同じではないでしょうか。
成功している時も、失敗して落ち込んでいる時も、どちらも自分自身の姿なのです。
成功した自分も自分。失敗した自分も、また自分。
そう考えると、大きな失敗をしてしまった自分のことも、少しずつ許せるような気がしてくるのです。
さて、ここで、私の趣味であるゴルフの話をさせてください。
ゴルフでラウンドしている時、アドレスに入ると、ついつい、そのホールで過去に打った最高のショットを思い浮かべてしまいます。
ところが、その会心の一打は、実際には10回に1回程度の好打に過ぎないのです。
それなのに、ミスショットをすると、必要以上に落ち込んでしまう。
「どうして、あんなところへ打ってしまったのだろう……」
「あんな簡単なショットを失敗するなんて……」
そんな後悔を引きずり、次の一打にまで悪影響を及ぼしてしまうのです。
失敗した一打が、どうしても許せないのですね。
以前、シングルプレーヤーの方と一緒にラウンドしたことがあります。
その方は、ミスショットをしても、実に淡々としていました。
失敗したことをいつまでも悔やむ様子もなく、落ち着いて次の一打に臨むのです。
そして、気がつくと、見事なスコアにまとまっていました。
きっと、ミスショットも自分の実力の一部として受け入れ、心の平静を保ちながらプレーしていたのでしょう。
一方、私はというと……。
一打ミスをすると、焦ってしまいます。
そして、失敗を一気に取り返そうと、自分の技量では難しいコース戦略に挑んでしまうのです。
結果は、推して知るべし。
みるみるうちに自滅してしまいました。
何とも情けない話です。
しかし、この経験から学んだことがあります。
大切なのは、失敗しないことではなく、失敗した後に、どう自分を立て直すかということ。
失敗した一打を悔やみ続けても、その一打を打ち直すことはできません。
できるのは、次の一打に心を向けることだけなのです。
これは、人生も同じではないでしょうか。
失敗した自分を責め続けるよりも、そんな自分も受け入れ、次の一歩を踏み出していく。
もちろん、失敗を振り返り、反省することは大切です。
しかし、反省することと、自分を責め続けることは違います。
反省は、次の成長につながります。
一方、自分を責め続けるだけでは、なかなか前へ進むことができません。
「晴れてよし、曇りてもよし、富士の山。もとの姿は変わらざりけり」
成功した自分も、失敗した自分も、どちらもかけがえのない自分自身。
そう思えるようになれば、過ぎたことを必要以上に引きずらず、今という時間を大切にできるのではないでしょうか。
とはいえ、私自身、今でも失敗を引きずってしまうことがあります。
だからこそ、この言葉を、年がら年中、自分に言い聞かせているのです。
失敗した自分も、許してあげましょう。
そして、顔を上げて、次の一歩を踏み出しましょう。
人生は、まだまだ続いていくのですから。

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