生涯学習ー161 江戸しぐさは誰が教える?
江戸しぐさとは何か
江戸しぐさとは、江戸の町民たちが日常生活の中で培った、思いやりのマナーのことです。 もともとは商売繁盛のための技であり、口伝で受け継がれてきたため、文献としてはほとんど残っていないといわれています。
電車で出会った「江戸しぐさ」
今日、電車で妻と並んで座ろうとしたときのことです。 二人並ぶ余地がなく、一人の乗客を挟んで座ろうとすると、その方がサッと席を譲ってくださり、私たちは並んで座ることができました。
その心遣いに触れ、 「これこそ江戸しぐさだ」 と感じながら、丁寧にお礼を述べました。
代表的な江戸しぐさ
傘かしげ
雨の日にすれ違う際、傘を外側に傾けて相手が濡れないようにする。
肩引き
道で人とすれ違うとき、外側の肩を引いて体を斜めにする。
もったい大事
「もったいない」の心で物を大切にし、最後まで使い切る。
時泥棒
約束に遅れる、突然訪問するなど、相手の時間を奪うことは重罪。
七三の道
道の真ん中を歩かず、三割を自分、七割を他人のために空ける。
こぶし腰浮かせ
船などで後ろから人が来たとき、こぶし一つ分腰を浮かせて席を詰める。
うかつあやまり
自分に非がなくても「こちらがうかつでした」と誤り、場を和ませる。
横切りしぐさ
人の前を通るとき、手刀を切って「ごめんなさいよ」と通る。
おはようにはおはよう
挨拶をされたら、必ず挨拶を返す。
念入れしぐさ
戸締まりや火の元など、念には念を入れて確認する。
江戸しぐさが生まれた背景
当時の江戸は、世界でも有数の人口集中都市でした。 人が密集する中で、互いに気持ちよく暮らすための知恵が「江戸しぐさ」だったのでしょう。
こうして並べてみると、現代でも通用するものばかりです。 むしろ、積極的に取り入れたい心のマナーばかりです。
現代のマナーはどこで学ぶのか
江戸の人々は、このしぐさを口伝で学び、生活の中で自然に身につけていきました。 では現代社会では、人と気持ちよく生きるためのマナーをどこで学ぶべきでしょうか。
私は、その基本は 家庭教育 にあると思います。
学校教育では、こうしたマナーは担任の意識に委ねられている印象があります。 人間関係が希薄になっている今だからこそ、 社会で気持ちよく生きるためのマナーについて、大人がもっと真剣に考える必要があるのではないでしょうか。
英国で見た「紳士のしぐさ」
研修で英国を訪れた際、エレベーターに乗るとき、男性が自然に 「After you」 と言って女性やお年寄りに先を譲っていました。
それが社会全体の当たり前の文化として、子どもにも伝えられていたのです。 英国が「紳士淑女の国」と呼ばれる所以を、そこに見た気がしました。
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