55のメッセージ8 子どもたち、保護者への心遣い「教育は愛」No.827

55のメッセージ

55のメッセージー8 子どもたち、保護者への心遣い(教育編)

◆3学期の始業式前、ある若い教師が子どもたち全員への年賀状を書き終え、机の上に整然と並べていました。聞けば、新任の頃から毎年欠かさず続けているとのこと。 その温かい心遣いに、私は深く感動しました。

近年、教師に課せられる仕事は質・量ともに増し、心の余裕を失いがちな状況にあります。働き方改革が進められているものの、現場では依然として負担が重く、子どもたちや保護者への対応に影響が出ることもあります。 それでもなお、教師には「心遣い」を忘れずにいてほしいと願っています。

◆心遣いが生む、生涯の宝物

教師の何気ない一言や、心のこもった一枚の手紙が、子どもたちにとって生涯忘れられない思い出になることがあります。冒頭の若い教師の年賀状も、子どもたちにとって、きっと一生の宝物となったことでしょう。

この教師は、学校の研修主任として多忙な分掌を担いながらも、決して不平不満を口にせず、子どもたちのために細やかな配慮を積み重ねていました。 その心遣いは子どもたちだけでなく、保護者にも向けられていました。 子どもの小さな成長を見つけては、放課後に丁寧な電話で伝える――。 こうした日々の積み重ねが、保護者との確かな「共育体制」を築いていたのです。

◆教育とは、心が響き合う営み

教育とは、心に届き、心が響き合う営みです。 人と人とが心を通わせるためには、真心を込めた日々の心遣いこそが何よりも有効なのです。

私が理想とする心遣いの原点は、プロ野球の長嶋茂雄さんが見せたファンサービスの数々にあります。 長嶋さんがファンを徹底的に大切にされた姿勢は、教師である私にとって「子どもたちや保護者を大切にすること」へとつながりました。

◆心遣いがつくる信頼の学校

私は、子どもたちからいただいた手紙には必ず返事を書くようにしてきました。 保護者とのコミュニケーションを何より大切にし、校長室を開放し、自ら学区へ出向く。 そうした日々の取り組みの中で、「子どもたちや保護者が学校に何を期待しているのか」という生の声を常にリサーチし、学校経営の羅針盤としてきました。

愛と信頼に満ちた学校づくりを進めるためには、教育計画や施設整備といった「ハード面」だけでなく、教師一人ひとりの心遣いという「ソフト面」の充実が不可欠です。

◆忙しさの中にこそ、教師の原点がある

先生方も日々の業務に追われ、本当にお忙しいことと思います。 しかし、その忙しさの中で―― 子どもに一枚の手紙を書く。保護者に一本の電話をかける。 まずはその「一歩」から始めてみてはいかがでしょうか。

忙しさの中にこそ、教師としての原点を思い出すような、心安らぐ充実感が得られるはずです。 ただし、決してご無理のない範囲で。

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