体育「遊び」小4まで拡充 ― 運動遊びの本質を見失わないために 「教育は愛」No.777

体育授業

体育授業ー44 体育「遊び」小4まで拡充 ― 運動遊びの本質を見失わないために

【導入】

文部科学省は、2030年度以降に実施を予定している次期学習指導要領の体育において、 小学校2年生までの「運動遊び」を小学校4年まで拡充する方針を固めました。

◆背景には、子どもの運動時間が減少している現状があります。 楽しく体を動かす機会を増やし、生涯にわたってスポーツに親しむ基礎を築くことが目的のようです。

中学校でも、1・2年の「陸上競技」「水泳」「ダンス」「球技」が、 「陸上運動」「水泳運動」「表現運動」「ボール運動」と名称変更される予定です。 名称だけでなく、専門的な競技ルールを緩和しながら、 子どもたちがより自由に体を動かせるように変化していくことが予想されます。

【「遊び」だからこそ、教育的意図を忘れない】

さて、小学校で「運動遊び」が4年生まで拡充されることについて、 私はひとつだけ留意すべき点があると考えています。

それは、「遊びだから、子どもたちが楽しければそれでいい」 という考え方で、運動の特性に触れさせずに単元を終えてしまわないことです。

私がかつて1・2年生の「跳び箱遊び」で教材づくりをした際には、 アニメのキャラクターをテーマに取り入れながらも、 跳び箱運動に必要な「着地」「踏み切り」「両手支持感覚」「跳び出し感覚」などを精査し、 それらを自然に体験できるように教材を構成しました。

直接的に「開脚跳び」や「台上前転」を教えるのではなく、 将来的にそれらの技を可能にする土台づくりを重視したのです。

結果として、1・2年生でも単元の後半には、 開脚跳びや台上前転ができるようになった子どもが多数いました。

【教師の専門性と授業の質】

小学校の教師は全教科を担当します。 体育に関して専門的な知識を持ち合わせているとは限りません。

そこに「運動ではなく遊びになったから…」と、 子どもたちの楽しさばかりを優先して子ども任せの授業を展開してしまうと、 運動経験を発展させるような授業の質は望めなくなります。

これまでも「遊びだから」と言って、 「活動はあっても内容のない授業」をしていた低学年の授業を多く見てきました。

もしそれが4年生まで続いてしまえば、 子どもたちが生涯にわたって運動・スポーツを楽しむ基盤を 小学校で確立できない可能性があるのではないか—— そんな危機感を抱いています。

【「運動遊び」の本質を踏まえた教材研究を】

「遊び」という言葉に惑わされることなく、 運動遊びの本質を踏まえた教材研究が進むことを切に願います。

遊びの中に「運動の芽」を仕込み、 子どもたちが楽しみながらも確かな運動感覚を育てる。 それこそが、教育としての「遊び」の真価です。

教育は愛。

子どもたちが笑顔で体を動かしながら、 未来へと続く健康と幸福の基盤を築いていくことを願って。

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