幼稚園ー29 懐かしのマペット人形〜23年の時を超えて、子どもたちの笑顔と再会〜
◆勤務する幼稚園で、父母の会主催のおまつりが開催されました。
その中で、子どもたちに披露するサイエンスショーの前座を務めることになりました。
さて、何をしようか……。
考えた末に、簡単な手品と、懐かしいマペット人形との掛け合いを披露することにしました。
そのマペット人形は、長い間、自宅の納戸で箱に入ったまま眠っていたものです。
名前は「パンちゃん」。
可愛らしいパンダのマペット人形です。
パンちゃんとの出逢いは、今から23年前、2003年に遡ります。
当時、私は小学校1年生の担任をしていました。
帰りの会に、スペシャルゲストとして登場させたのが、このパンちゃんでした。
「みなさん、パンダのパンちゃんです!」
見よう見まねの腹話術(?)で、パンちゃんが子どもたちに語りかけます。
すると、子どもたちは大喜び。
いつしかパンちゃんは、毎日の登場を心待ちにされる、クラスの人気者になっていました。
道徳の授業には、登場人物になりきって演じる「ロールプレイング」という指導方法があります。
自分ではなく、物語の登場人物として話すことで、普段は口にしにくい本音や思いを表現しやすくなることがあります。
パンちゃんとのやり取りも、どこかそれに似ていたのかもしれません。
私が直接伝えるのとは少し違って、パンちゃんの言葉だからこそ、子どもたちの心に素直に届くこともあったように思います。
子どもたちは、パンちゃんを本当に大切にしてくれました。
2年生になっても、パンちゃんは子どもたちの前に登場し続けました。
そして、お別れの時。
子どもたちは、パンちゃんにお手紙を書いてくれました。
可愛らしいマフラーを手作りしてくれた子。
パンちゃんのマスコットを作ってくれた子。
指輪をプレゼントしてくれた子もいました。
その指輪を、パンちゃんはネックレスのようにして身に付けていました。
今回、久しぶりにパンちゃんの箱を開けると、そんな思い出の品々が、当時のまま大切に残されていました。
マフラーも、マスコットも、そして指輪も……。
パンちゃんを右手にはめてみました。
すると、不思議なものです。
23年前の子どもたちの笑顔が、走馬灯のように蘇ってきました。
あの子も、この子も……。
教室に響いていた笑い声まで、聞こえてくるようでした。
実は、パンちゃんには、その後もう一度だけ出番がありました。
2015年、私が小学校の校長を務めていた時のことです。
ビデオ配信による校長講話で、パンちゃんと掛け合いをしながら、子どもたちに読んでもらいたい本を紹介しました。
それ以来、パンちゃんは再び箱の中へ。
そして、今日。
久しぶりに、幼稚園の子どもたちの前に登場したのです。
簡単な手品に続いて、パンちゃんが登場すると、子どもたちは大喜び。
初めてパンちゃんに出逢った子どもたちも、すぐに親しみを感じてくれたようでした。
おまつりが終わり、家路に向かう親子を、正門でパンちゃんと一緒にお見送りしました。
子どもたちは、パンちゃんに優しくタッチしながら、
「パンちゃん、さようなら!」
と、笑顔で挨拶してくれました。
その光景を見ながら、私は胸がいっぱいになりました。
23年前の小学校1年生の子どもたち。
2015年に校長講話を聴いてくれた子どもたち。
そして、今日、パンちゃんに出逢った幼稚園の子どもたち。
時代も、場所も、子どもたちも違います。
けれども、パンちゃんを見つめる子どもたちの笑顔は、少しも変わっていませんでした。
子どもたちと心を通わせる喜び。
その喜びは、教師として歩んできた私の人生の中で、ずっと変わることのない宝物です。
パンちゃんのお蔭で、今日もまた、子どもたちとの心の絆を深めることができました。
パンちゃんの顔を見つめていると、これまで出逢ったたくさんの子どもたちの声が聞こえてくるようです。
23年という歳月を経ても、あの日の笑顔は、私の心の中で生き続けています。
「パンちゃん、ありがとう。また会う日まで!」

コメント