55のメッセージ-31 リーダーシップ(職場編)
◆教師は、30数人の子どもたちがいる学級を担任し、一人で授業を行います。その集団の中で、リーダーシップを発揮するのは教師です。
また、管理職になれば、子どもたちだけでなく、教職員を束ね、学校全体を導いていくリーダーシップが求められます。
では、教師に求められるリーダーシップとは、どのようなものなのでしょうか。
教師にはリーダーシップが必要である
このことに気づいたのは、「体育授業と学級経営」をテーマに研究を始めた頃でした。
それまでは、体育科教育を研究し、子どもたちにとってよりよい体育授業を実現するために、仲間とともに実践的な研究に取り組んでいました。
その中で、私は気づいたのです。
同じ教材を使い、同じ学習指導案で授業を行っても、教師の学級経営によって、体育授業の様相が大きく変わるということに。
人生の師である髙橋健夫先生は、次のようにおっしゃっていました。
「最終的には、教師です。教師の愛が授業に表れるのです。教育は愛です」
研究と実践を重ねるうちに、私はこの言葉の意味を深く理解できるようになりました。
学級経営は、教師の在り方に大きく左右されます。もっと言えば、子どもたちを導くリーダーとしての在り方が問われるのです。
このことに気づいた私は、リーダーシップに関する書物を読み漁りました。特に参考になったのは、一流企業の経営者のエッセーや歴史に関する書物です。
リーダーたちは、どのような考え方で組織を活性化させてきたのか。その姿勢や行動から学び、気づいたことをノートに整理していきました。
こうして、自己流ではありますが、リーダーシップについて学び続けました。
その学びは、学級経営や授業だけでなく、教職員に提案するときや、保護者に話をするときにも大いに役立ちました。
教師は、一人ひとりの子どもと向き合うだけでなく、集団に働きかける機会も数多くあります。
だからこそ、その場の状況を見極め、人々の気持ちを受け止めながら、集団をよりよい方向へ導く力が必要なのだと思います。
私のリーダーシップの原点
やがて、初めて校長に就任することが決まったときのことです。
子どもたちは約1,000人、教職員も50人を超える大規模な学校でした。
学校全体をどのように導いていくべきか。私は、もう一人の人生の師である、巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄さんにお尋ねしました。
「私の理想とするリーダーは、長嶋茂雄監督です。長嶋さんは、巨人軍の監督をされていたとき、どのようなことをお考えになって指揮を執っていらっしゃったのですか?」
長嶋さんは、即答してくださいました。
「『誠心誠意』でしょう。うん、『誠心誠意』ですね」
そうお答えになりながら、長嶋さんは数回うなずかれました。
その表情と瞳の輝きからは、監督時代の熱い情熱が伝わってくるようでした。
「誠心誠意」
以来、私のリーダーとしての生き方は、この四文字に集約されるようになりました。
そして今も、この言葉を自分の信条として掲げ続けています。
あなたの信条は何ですか?
リーダーは、ときとして孤独に耐えなければなりません。
判断に迷うこともあれば、自分の決断に責任を負わなければならないこともあります。
だからこそ、リーダーシップの中核となる信条を見つけ、磨き続けることが大切なのではないでしょうか。
迷ったとき、苦しいとき、自分を支え、進むべき道を照らしてくれる信条。それは、リーダーにとって、心のお守りのようなものです。
皆さんには、リーダーとして大切にしている信条がありますか?
あなたのリーダーシップの信条は、何ですか?
◎55のメッセージは、「職場編」を経て、次回から「人生編」へ進みます。

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